独学で旧帝大医学部に逆転現役合格した受験勉強を紹介!

運営メンバーには旧帝大の医学部医学科に現役合格した者がいます。今回はなるべく受験勉強一般に通じるようなノウハウを紹介していきます。

全部読む時間がないという人は、「間違い直しを続ければいずれ満点になる」と「自己分析」の部分だけでも目を通してもらえると、言いたいことが伝わるのではないかと思います。

 

この記事について

記事を書いたきっかけ

受験勉強は大学受験を志す誰もが悩むものですが、一方で大学に入学してしまうと、それを乗り越えた人しか集まっていないわけですから、自分が如何に頑張ったかを話すのは時としてナンセンスです。

ですが、最近自分の受験勉強を整理して後輩たちに伝える機会があり、こんな体験談でも価値があるかもしれないと思ったので、固有名詞は伏せつつも私の受験勉強のエッセンスをまとめました。

高校生の時の私は、「勉強法ブログを読む暇があったら勉強したほうがマシだ」と思いながらも、結構ダラダラ勉強法ブログだとかノートテイクのコツだとかを調べていました。そんなみなさんにもなるべく有益な情報を発信できたらと思います。

ほぼ独学で合格

巷に受験ブログや合格体験記は様々ありますが、特に医学部ともなれば合格体験記の多くは予備校のものです。

私の場合は出身が田舎だったため大した予備校もなく、進度の速い中高一貫校に通っていたわけでもありませんでした。そして、医学部を目指すにも関わらず得意科目が英語と国語という始末。センター試験の直前にセンターの範囲を習い終えるようなギリギリの高校生活の中で、模試ではE判定を出し続けながらも、塾に行かずに独学で旧帝大の医学部に合格した秘訣をお伝えしていきます。

同じように地方や独学で頑張っている方たちの少しでも助けになれれば嬉しいです。

 

体験談:私の学習進度

高校2年生まで

高校の授業の予習復習やテスト勉強が主で、過去問を解くといったいわゆる受験勉強はほとんどしていませんでした。数学のみ学校の進度が少し早く、2年生が終わるまでに数Ⅲを終わらせることができました。
3年生になる春休みに、その年のセンター試験と、志望していた大学の二次試験を、どちらも理科以外の科目だけ解きました。物理化学の選択でしたが、どちらの教科も全く学校の進度が追いついておらず、見ても意味がないと思ったためです。

センター試験まで

基本的には学校の進度に合わせながら、基礎的な問題集をなるべく完璧にするよう心がけました。得意科目の得意分野のみ赤本をチラ見したりしたことがありますが、本格的に解くことはなく、分厚い赤本はモチベ兼勉強机の飾りに。夏と秋の各大学模試は、旧帝大のうち3大学で志望を決めかねていたため、駿台河合塾どちらも受けていました。

センター試験から二次試験まで

センター試験の自己採点をし、1週間ほど悩みに悩んで志望校を決定しました。そこから本格的に二次試験の対策を開始。といっても残された時間は1ヶ月強しかありません。幸いその期間に学校の授業はなかったので、家にこもってラストスパートを追い上げる日々が続きました。二次試験の対策は、赤本全科目6年分を解き、うち3年分はZ会の通信過去問添削サービスを利用して添削してもらいました。苦手分野については赤本(25ヵ年など)で少し掘り下げたりしましたが、あくまで数十問程度でした。

注意事項

私の場合は運良くこの勉強で現役合格をつかむことができましたが、旧帝大の医学部を目指すにしてはかなり進度が遅いことは間違いないです。入学後、友人たちに受験勉強について尋ねたところ、「中高一貫校のため高校の学習範囲まで中学で終わっていた」という人や、「有名予備校・塾に通っていた」という人がほとんどでした。

自力で頑張っても合格できるんだよ、と、私と同じような環境の人に希望を与えたいという気持ちもありますが、一方でこの例はかなり上手くいった例だということもぜひ覚えておいてください。

受験勉強を通じてわかったこと

ここからは、受験勉強のコツや受験勉強について得たノウハウなどを5つの項目に分けて共有していきます。

間違い直しを続ければいずれ満点になる

まずはこちら。私の受験勉強における最大の学びで、最大のモットーなので、最初に紹介します。

受験というのは、ある程度「目標点数」はあれど最終的には相対評価です。実は高校3年生の夏休みに短期間だけ都会の予備校に行き授業や試験を受ける機会があったのですが、田舎のお山の大将はそこでひっくり返りそうになりました。周りには自分でも知っているような名だたる高校の生徒が座っており、私が解説すら理解できない問題をどんどん解いている。「◯◯大に行く」と豪語していた井の中の蛙は、この人達と戦うのかと打ちひしがれておりました。相対評価を意識しすぎると、そういう思いをすることになります。

この気持ちはモチベーション維持に非常に大切です。しかし、学校の進度や環境といった埋めようのない差を前にして更に相対評価という事実を突きつけられると、諦めたくなってしまうのも事実です。

しかし大切なのは、高校の学習範囲以上のことはどの大学でも出題されないということです。高校の学習範囲は文科省が定めており有限ですから、勿論周りも成長していきますが、自分が入試の難易度に近づいていくことは可能です。

そして理想的には、高校の学習範囲をマスターし、入試の範囲で解けない問題がなくなれば、周りがどうであっても怖がることはありません

つまり、「間違えた問題を復習し次は解けるようにする」、これを十分な回数繰り返せば、解けない問題はなく、恐れることもないのです。

もちろん限られた時間の中でそんなことは不可能ですが、モチベーションとしてはその心持ちが大切だと思います。

具体的に何をしていたかというと、とにかく「自己分析」です。詳しくは1つ下の項目で述べていきます。

自己分析

間違えた問題について「何が正解だったのか」を知るのが間違い直しですが、私はこれにあと2つ付け足していました。それが「なぜ正解できなかったのか」と「どうすれば次に正解できるのか」です。当然のように聞こえますが、実はこれを具体的に言語化している人はなかなかいません。

例えば数学の問題を例に取ってみましょう。「何が正解だったのか」を知るには模範解答を読んで理解すればOKです。大体、この段階で「あ~この解法は思いつかなかったな」とか「計算ミスしちゃったわ~」とか思って、なんとなく「反省した気分」になってしまいます。厳しいようですが、そんなことを思っているだけでは一切成長しません。次に繋がりません。思い出しましょう。「出題される範囲は有限」であり、「一度間違えた問題を次に正解できるようになれば、理論上すべての問題が解ける」ようになります。

そこで、まず「なぜ正解できなかったのか」を考えます。例えば「解法が思いつかなかった」のなら、なぜ思いつかなかったのかを考えるのです。すると「このような問題パターンでどのような手札が使えるのかを整理していなかった」だとか、「座標の問題とばかり思っていたら実は図形の問題だった」とか、より具体的な反省点が見えてきます。

それらに対して、「どうすれば次に正解できるのか」を一つ一つ考えていきます。「手札を整理しておこう」「問題文が座標だからといって惑わされないようにしよう。そのためには自分で図を書いてみよう」といった、次から解けるようになるための方法を積み重ねることができるはずです。

単なる「計算ミス」ひとつでも私はそうしていました。なぜ計算ミスをしてしまったのか、次から例えばどのような計算用紙の使い方をすればミスが減らせるのか、などを逐一考えていくのです。

基礎と応用

初めに私自身の受験勉強の進度をまとめて書きましたが、あれは私が何者か、どうしてこのブログに読む価値があるのかを示す自己紹介のようなもので、何の目安にもなりません。限られた期間しかできない受験勉強の中で大切なのは、「自分のレベルに合った問題を解く」ということです。

自分のレベル以下の問題を解いても、慣れはするでしょうが成長に繋がりません。そして自分のレベル以上の問題を解いたとしても、本当に必要な学ぶべきことに集中することができず、労力の割に、1問から得られる情報量が少なくなってしまいます。

ここで大切だと思うのが、「基礎」と「応用」の考え方です。

問題集の中でも「基礎問題」「応用問題」と銘打ってある問題を見ればわかるかもしれませんが、私は基礎/応用は難易度と関係がないと思っています。難しい基礎問題もあれば、さほど難しくない応用問題もあるかもしれません。基礎問題とは知識やスキルが要求される問題で、応用問題とは基礎を組み合わせた複雑な状況設定の問題だと私は考えています。

例えば非常に難しい関数の積分をせよという問題があったとすれば、それは基礎問題ですが難易度が高いと言えるでしょう。対して、さほど難しくない状況であっても、日常生活と絡められていたり、複素数と確率の問題が組み合わさっていたりしたら、応用問題と考えるべきでしょう。

なぜ基礎と応用を分けるかというと、それぞれ復習すべき点が異なり、何より自分にあった時期に取り組むべきものだからです。

基礎問題を間違えてしまった場合、復習すべきは「習得しておくべきだった知識やスキルを学び直す」ことになります。一方で、基礎が十分できているにも関わらず応用問題が解けないということになると、復習すべきは「状況把握能力」「問題を読み解く力」「問題に合わせて自分の手札を使いこなす力」といったものになるでしょう。

もちろん、基礎ができていない状態で応用問題に取り組むとすれば「知識」と「状況把握能力」がどちらも足りないな、と理解し、どちらも向上する必要があります。

しかし基礎ができない状態では解けない問題も多く、間違えた理由が複雑になればなるほどそれを分析するにも時間がかかります。時間をかけた割には得たものが少なかったな、ということになりかねません。

各科目各分野について、基礎ができているかをしっかり見直し、基礎ができているならそこで燻っていないで応用問題に取り組む、応用問題を解いていたが基礎ができていないと分かったのなら躊躇せず基礎に戻る、という繰り返しにより受験勉強を効率良く進めることができます。

ここからは主観的な話になりますが、レベルが合っているかの一つの指標が「楽しいか」どうかだと思います。解いていて全く面白くなければ、その問題は簡単すぎるか、難しすぎるのではないでしょうか。

模試の活かし方

私の場合、模試は散々でした。

夏模試の数学は全範囲勉強し終えていたにも関わらず点数は1割程度。化学などは無機化学が始まったばかり、有機化学は1秒たりとも勉強したことがなく、記号問題もあったのにどちらも0点だったのを思い出します。駿台河合塾の模試を受けましたが、どちらも最低判定。晴れて入学後、成績優秀者に載っていた人がたくさん同級生にいたので仰天しました。

というわけで、学校の進度からどうしても模試に間に合わないという人は......

仕方ないです。

どうしようもないです。付け焼き刃で軽く教科書を読んでも良いかもしれませんが、ある程度模試に対応できるまで勉強しようとすれば、自分の勉強のペースを崩すことにもなります。

私が結局どうしたかというと、夏模試の復習をしっかりやりました。夏模試だけで5つくらいは受けていて、模試1つあたり丸2日程度かけて復習していたため、模試の復習だけで夏が終わりそうでした。ちょっぴり不安でした。

夏休みが終わり、秋模試も4つほど受けました。実はここでかなり数学が伸び、7割まで点数が取れるようになりました。これは確実に、夏模試の自己分析を臆さず行った成果でした。

ただ、物理化学は凄惨たる結果。判定は最低のまま、河合塾はD、駿台はE。夢も希望もなく、「学校の進度が......」と言い訳をするばかりでした。

実際、単なる言い訳ということでもなく、進度は確実に追いついていませんでした。対して旧帝の医学部で合格判定を見るようなライバルたちは中高一貫校や予備校で一通りの勉強を終えている人が多く、秋模試の段階でまだ有機化学をやったことのない人が混じったとしても、本当に正確な判定ができるかは疑問です。

ただそれに甘んじて「まあ受験当日は大丈夫だろう」と思っても何の意味もありません。

大切なのは2つです。

  • 学校の進度による支障があれば、模試の判定だけを根拠に志望校を決めない
  • 自分の実力としっかり相談して受験校を決める

模試が参考にならなくても、実力アップに寄与すれば大いに意味があります。しかし学校の進度を言い訳にして楽観的になるのではなく、最終的には自分の立ち位置をしっかり鑑みて受験校を決めるべきです。

例えば私の場合、物理の実力に最後まで不安が残りました。結局、センター試験で十分な点数を取ることができ、基礎はできているなと思ったため、E判定だった大学を受験することに決めました。

モチベーション

最後に、これから長い受験勉強をくぐり抜けるみなさんへ、モチベーションの維持について私が学んだことをお伝えします。

それは、日々の生活からモチベーションを見つけては消費していくことです。

皆さんには大きな夢があるかもしれません。憧れのあの大学に入りたい。あの先輩の後を追いたい。人を助ける仕事がしたい。いい仕事につきたい。だから、受験勉強をするんだ!と。

それに対して、日々の生活では小さな誘惑が顔を出します。今日は疲れたな。今日はテストだったからいいか。新作のゲームが出た。だから、ちょっとくらい勉強しなくてもいいかな。

大きな原動力になる経験は、そう頻繁にあるものではありません。オープンキャンパスに行ったり、模試で打ちのめされたりするのは大きなモチベーションになるでしょう。そして受験勉強というのは、その夢とモチベーションが、日々の誘惑で少しずつ蝕まれている状態です。夢だけでは何年も乗り切れないのです。

そのため、「今日一日のモチベ」を見つけて、毎日の誘惑に勝っていくことが重要になります。

例えば、学校の試験の結果が返ってきた。テレビで志望校が映っていた。学校で先生が喝を入れてきた。今日の授業で、自分が知らなかったことを友達が知っていた、悔しい。

そういう細々としたモチベーションを「モチベーションだ」と自分に言い聞かせ、その日のゲームや怠け心に打ち勝つ材料にする。何とか今日一日だけ食いつないで、明日はまた明日のモチベーションを探します。

私はこうやって、有限の受験勉強を乗り切りました。

 

まとめ

まとめると、私が受験勉強で学んだコツは以下の通りです。

  • 間違い直しを続ければいずれ満点になる
  • 「何が正解だったのか」に加え「なぜ正解できなかったのか」と「どうすれば次に正解できるのか」を具体的に言語化する
  • 焦らず、燻ぶらず、自分のレベルに合った問題を解く
  • 日々の生活の中からモチベーションを見つける

以上のことが、今まさに頑張っている皆さんの力になっていれば嬉しいです。そして着々と医師国家試験が近づく自分自身もまた鼓舞したいと思います。